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<信毎の本>地図から信州が見えてくる

2022年9月1日

 鉄道や道路がどうしてそのルートを通ったのか。古い地名が残る街と消えた街の違いは何なのか。市町村の合併はどのように進んだのか…。

 地図はネットで見ることが多くなりましたが、それでも地図を眺めていると、さまざまな「なぜ?」にぶつかります。特に広大な長野県は、山がちな地形ながら明治の早期に鉄道が開通し、蚕糸業などの産業や観光が発展したことから、地名や土地利用でも特徴や変化が目を引きます。その疑問を解明するヒントは、やはり地図を読み解くことにあります。

 例えば、松本や上田の市街地では「中央」「大手」といった地名にまとめられた一方、長野市では「問御所町」「県町」などの明治からの地名が今も公式に使われています。また、旧木曽郡山口村の岐阜県側への越県合併では「信州でなくなる」との反対意見もありましたが、本当にそうなのか?

 著者の今尾恵介さんは、多数の著書がある人気の地図研究家。本書では「長野県だけでも500枚以上」という、地形図をはじめとする新旧の地図コレクションを駆使し、山岳を克服した鉄道建設や、過疎で消えた集落など25のエピソードを紹介。地図を見比べて見えてくる変化の移り変わりや背景に迫ります。

 四六判、266ページ、税込み1760円。問い合わせは平日午前9時~午後5時に信濃毎日新聞社出版部(電話026・236・3377)へ。