<信毎の本> 鉄道写真集 信州 国鉄の風景 | 信毎読者サイト なーのちゃんクラブ      
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<信毎の本> 鉄道写真集 信州 国鉄の風景

2021年10月1日

 日本国有鉄道、略して「国鉄」。年配者には懐かしい響きですが、40代前半ぐらいの人には、もはやピンとこないかもしれません。JRに分割民営化されてから、既に34年となります。

 本書は、まだ国鉄だった頃の鉄道風景を集めた全モノクロの写真集です。単なる風景写真ではなく、主に昭和30年代から民営化を経て昭和が終わるまでの間に、信濃毎日新聞本紙に載った報道写真(一部除く)。信越線、飯山線、小海線、中央線、篠ノ井線、大糸線、飯田線と、未完成の中津川線の計8路線について、約350枚を収録しました。

 昭和30~60年代は県内の国鉄も大きく動きました。信越線の碓氷峠はアプト式が廃止になり、補助機関車の連結だけで往来が可能に。中央線、篠ノ井線では、塩尻駅移転や塩嶺新ルート開通。それぞれ電化や複線化が進み、新型車両の導入などで格段にスピードアップが進みました。一方、ローカル線を中心に赤字問題が深刻化し、貨物廃止など経営合理化が進むのもこの頃。今では新幹線が接続する飯山線、小海線が廃止対象に。苛烈(かれつ)な労働争議やストライキ。脱線、衝突など大事故も頻発します。

 取材だからその場所での撮影を許されたり、現場に駆け付けたからこそ撮れた写真だったり…。一緒に写り込む人や町並みからは世相や暮らしも感じられます。もちろん、蒸気機関車や旧型国電など車両の数々、今はなき駅舎など、懐かしい写真もふんだんに盛り込んだ保存版です。B5判256ページ、税込2200円。問い合わせは出版部(電話026・236・3377)へ。