<信毎の本> 「戌の満水」を歩く 増補改訂版
2021年7月1日
「戌(いぬ)の満水(まんすい)」とは、約280年前の江戸時代中期の寛保2(1742)年、長野県と関東地方を襲った歴史的な洪水災害です。特に千曲川流域は大きな被害となり、今の南佐久郡佐久穂町では当時の村がまるごと流されてしまったとか、松代城の殿様が船で避難したといった話が伝わり、各地にその痕跡や記録、犠牲者を弔う風習などが残っています。犠牲者は2800人に及んだと言われています。
本書は、その各被災地をつぶさに歩き、資料を読み解き、土地の人に話を聞いて被害の実態に迫ると共に、航空写真や地形図を多用して発生のメカニズムも探ります。初版は2002年刊。長い間品切れとなっていましたが、ほぼ同じ流域に被害をもたらした2019年10月の台風19号で「戌の満水」が再び注目されたことを受け、再刊行しました。
基本的な内容は初版と同じですが、一部デザインや本文表記(算用数字への変更)などを見直しました。また、巻末には19年台風19号の県内災害の記録をダイジェストとして追加。「過去の教訓を現代に生かし、後世に伝える」保存版です。B5判、224ページ、2420円(税込み)。お求めは書店、信濃毎日新聞販売店へ。問い合わせは信毎出版部(電話026・236・3377)へ。