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<信毎の本> 復刻継承版 この平和への願い 長野県開拓団の記録

2021年6月1日

 語られることのなかった凄惨(せいさん)な記憶、終戦前後の満州で何が起きていたのか―。戦後20年に帰還者の証言から事実を再現し反響を呼んだ信濃毎日新聞連載を収録した本を復刻します。初版から50年余、開拓団経験者が少なくなる中、次代へ記憶をつなぐ「継承版」です。

 送出数で全国一の長野県開拓団は、敗戦と敗戦間際のソ連参戦で境遇が一転しました。ソ連軍や地元民から逃れながら、集団自決、虐殺、飢え、病魔といった悲劇の道を歩みます。特に残酷な運命をたどった「高社郷」「更級郷」をはじめ、貧しい農村部から入植した各団生還者たちの証言は今なお重く生々しく響きます。国策の名の下、新天地を求めて大陸に渡ったはずが、内実はソ連侵攻に備えた「盾」とされ、敗戦後は置き去りにされた実態も浮かび上がります。

 復刻にあたり、反戦を訴え続けたジャーナリストむのたけじ氏にちなむ「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」の第1回大賞受賞者、黒崎正己さん(北陸朝日放送ディレクター)による解説を付けました。当時の満州政策を教訓に、現代に警鐘を鳴らします。

 四六判、250ページ。1760円(税込み)。お求めは書店、信濃毎日新聞販売店へ。問い合わせは信毎出版部(電話026・236・3377)へ。