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<信毎の本> 島崎藤村「破戒」のモデル 大江磯吉とその時代

2018年7月01日

 120年近く前、文豪・島崎藤村が若い教師として小諸義塾に勤め、北佐久郡小諸町(現小諸市)に住んでいたころ、その存在を知ったことで深く心を動かされた人物がいました。「被差別民」として生まれ、さまざまな受難と闘いながら教育者への道を切り開いた大江磯吉。本書は、藤村が小説「破戒」を書く決定的動機になったとされる大江の生涯とその時代背景について書き下ろした評伝です。

 1868(明治元)年に伊那郡下殿岡村(現飯田市)で生まれた大江は、長野県で教員になりましたが、「部落民」として排斥され、大阪府で教員になります。しかし、同じ理由で排斥され、次は鳥取県で教員に。そこで校長と対立し、今度は中学校長として兵庫県へ。母の看護のため帰郷した際、腸チフスに感染して34年余の生涯を閉じました。

 当時の激しい部落差別の中で自らの志を貫き、差別と闘う「力」となる学問と「忍」の哲学を得る努力を続けた大江。著者で文芸評論家の東栄蔵さんは「日本近代の文学史、部落史、教育史の中で大江の生涯と思想の再評価を試みてほしい」と話します。

 2001年発行の「大江磯吉とその時代」に加筆し、復刊した新装版。1300円(税込み)。お求めは書店、信濃毎日新聞販売店へ。信毎出版部(電話026・236・3377)から直送(要送料)もしています。

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