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本紙文化面連載「本の世紀」一冊に 岩波書店の歩み軸に出版の役割考察

2015年9月22日

本紙連載をまとめた「本の世紀―岩波書店と出版の100年」

 本紙文化面で2013年に計25回連載した「本の世紀―岩波書店と出版の100年」が、東洋出版(東京)から刊行された。諏訪市出身の岩波茂雄(1881~1946年)が創業した同書店の歩みを軸に、時代ごとに出版が果たした役割を考察。最近の出版や読書をめぐる課題を踏まえながら、本の持つ可能性を探る内容だ。

 1913(大正2)年に産声を上げた岩波書店。夏目漱石の「こゝろ」を皮切りに、教養・学術の分野で読者の信頼を得た。文庫や新書の発行にいち早く取り組み、一般に定着させた。戦時中は出版物をめぐり、茂雄が起訴される事件もあった。戦後の新しい辞書を目指して作られた「広辞苑」や、60年安保闘争を理論面で支えた雑誌「世界」など、それぞれの時代と出版は深く関わっていた。

 筑摩書房を創業した古田晁(あきら)(塩尻市出身)をはじめ、茂雄に影響を受けた信州出身の出版人も紹介。岩波書店の本をそろえる諏訪市の「信州風樹文庫」の由来と取り組み、新書や雑誌の編集者の仕事に密着したルポ、戦後のベストセラーの一覧も掲載した。

 出版に詳しいフリーライターの永江朗(あきら)さんが「解題」を寄せた。岩波が“イノベーション”を繰り返してきたのは、「時代に対する危機感や怒り、使命感を強く持っていたからだろう」と指摘。そこに出版産業が生き延びるヒントがある―としている。

 四六判、224ページ。2592円。

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