信毎ニュース

「土の俳人」新たな資料で振り返る 土音の俳句史料、若槻郷土史研が入手

9月14日(金)10時29分

桜井土音が自作の句を記した短冊や色紙。その生涯を振り返る14日の講演会の会場に展示される

 長野市若槻地区出身で、大正から昭和にかけて全国でも名の知れた俳人、桜井土音(どおん)(本名賢作、1887~1964年)の新たな俳句史料を、地元住民らでつくる若槻郷土史研究会の金子弘会長(81)=若槻団地=が入手した。「土の俳人」といわれ、農の営みを泥くさく詠んだ土音らしい句をつづった短冊や色紙など17点。その生涯を振り返ろうと14日に若槻コミュニティセンターで開く講演会の会場に展示する。

 金子さんが入手した史料は、これまで須坂市の男性が土音の作風に引かれて収集して所有。研究会が6年ほど前から土音に着目し、講演会を企画したことを伝える信濃毎日新聞の記事を読み、金子さんに提供を申し出たという。

 17点はいずれも土音が自作を自らしたためたとされる。このうち短冊に記された「種子(すじ)まくや水晃々(こうこう)と笠(かさ)の下」の句は、春に稲のもみをまく作業中、頭にかぶったかさの下で田の水がきらめく様子を詠んだ内容とみられる。

 色紙に書かれた「二(ふ)た穂三穂(ほみほ)腰にはさみし荷穂(にお)かな」の句は、脱穀後のわらを積み上げた「にお」(わら塚)に残った、わずかな稲穂を大切にする様子を表現。金子さんは「コメを一粒たりとも無駄にしない農民の気持ちが出ている」と魅力を話す。

 14日の講演会は午前10時から、土音に詳しい元信濃毎日新聞論説主幹の花嶋堯春(たかはる)さん(79)=長野市=が話す。会場では他にも父親が土音の俳句仲間だったという千曲市の男性が、土音の句の掛け軸などを並べる予定という。

 金子さんは「反響の大きさに驚いている。他にも土音の句の色紙や短冊などが残っていたら、情報を寄せてほしい」と呼び掛けている。

  • 信毎デジタルパスポート
  • 信毎の本オンラインショップ
  • 信毎イベント&チケット
  • 信毎オリジナルグッズ