それはさておき、ひとまずワイン

「日本ワイン」と「国産ワイン」

坂城町の自社畑

今年収穫したソーヴィニヨン・ブラン

昨年のカベルネ・ソーヴィニヨン

 「日本ワイン」と「国産ワイン」。皆さま、この違い分かりますでしょうか。この2つ実は似て非なるものなのです。

 海外からブドウや濃縮還元ジュースを輸入し、国内で瓶に詰められたものは、「国産ワイン」としてラベルに記載し、販売することが許可されています。これは法律で認めているので悪いことではありませんが、生産者としては、自分たちの土地でブドウ栽培から一生懸命育てた(または契約栽培農家が作ってくれたブドウ)を、自社のワイナリーで醸造してものと、海外原料で造られるワインを同じ位置で比べられるのは正当でないと考えるは普通の事だと思います。

 2000年を過ぎたくらいから、ワインを造る側、提供する側、そして飲む側も「日本ワイン」と呼ぶことが、じわじわと増えていきました。同時に、消費者にとって2つを見分けづらいということもあり、お酒を管理する国税庁が表示に関するルールを策定しました(2015年10月のことで、このルールが完全に実施されるのは2018年10月です)。輸入原料使用の場合、ラベルに「原材料名:濃縮還元ぶどう果汁(外国産)、輸入ワイン」等の表示をしなくてはいけないことになりました。また、「日本ワイン」の場合でも産地名を名乗る場合は85%以上、その産地のブドウを使用しなければいけないというルールなども盛り込まれています。

 では、実際に「日本ワイン」と「国産ワイン」の比率はどれくらいなのでしょう。生産量で言うと「16,638KL:85,791KL」。80%以上が「国産ワイン」と圧倒的に多いのです。ちなみに、日本で販売されている全てのワインのうち「日本ワイン」の量は「4.8%」。100本に5本弱しかないのです(平成28年度調査分国内製造ワインの概況より)。そして、日本の一人当たりの年間ワイン消費量は3.2L(フルボトル約4本)です。ちなみにフランスは51.8L(69本)=2015年O.I.V.(国際ワイン・ブドウ機構)の統計より。

 勘違いしないでいただきたいのは「国産ワイン」が悪い訳ではありません。価格も安くできるので、お財布にも優しいですし、全体の売上額を見ると「日本ワイン」は「国産ワイン」よって支えられている部分もあるのです。ワイナリーがきちんと記載し、買う側が選択すれば良いことです。ただ世界的に見れば、このような法律が今となって出来るのはかなり遅く、生産量も消費量もまだまだ少なく、そして歴史も浅いワイン発展途上国です。

 若者のアルコール離れと言われる昨今、酒類全体の消費は下がっていますが、このなかでも「日本ワイン」の出荷量は増えてきています。“良いワインは良いブドウから”と言われている通り、造り手たちは自社畑を増やし健全なブドウを収穫することを目標に栽培に力と情熱を込め、ブドウと真摯に向き合っています。そうやって育てられたブドウから造られるワインは、当然品質が良く、飲む人も増えています。
「同じ値段なら外国のワインを飲むよ」と言う方も多いです。確かに価格面だけで判断すると「日本ワイン」はまだまだ敵わないところもあります。でも、ワインという飲み物を私は、その土地や年、そして人を表す農作物だと思います。

 私も生まれ育った坂城町でブドウを育て、ワインを造ろうとしています。美味しいワインを造ることが目標だったら坂城で、いや日本でやろうと思わなかったかもしれません。この土地で造るからこそ意味があるもので、それを皆さんに味わってもらいたいのです。長野県をはじめ全国各地で新しいワイナリーも増え、土地を表現した個性的なワインがたくさんできてきています。これから「日本ワイン」はもっと良くなっていくことでしょう。それには、まず「日本ワイン」をもっと飲むことだと思います。

 「日本ワイン」は世界のワインに比べれば全体的に力強さでは負けてしまいますが、日本らしい優しさや奥ゆかしさがあります。そこが、お料理に合わせやすかったり、飲み疲れしなかったり、日本ワインの良い部分なのです。年末年始でワインを飲む機会が増えるこの時期、ぜひ「日本ワイン」お勧めします!

 実はこのコラム、今回で最終回です。ワインに興味をもっていただき、ワインを飲みたいなと感じて頂けたなら、それほど幸せなことはありません。2014年の1月から丸4年間、ありがとうございました。それでは、今日もひとまずワイン、飲みましょうか。

2017年12月14日


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