それはさておき、ひとまずワイン

ブドウの病気

写真1

写真2

 収穫の秋真っ盛りです。今年は台風や長雨のせいで、ワイン用ブドウにとっては非常に難しい年になっています。今回はブドウにとっての病害についてお話です。

 まずワイン用ブドウの良いとされる栽培条件から見ていきましょう。

1. 年間平均気温10~16℃
2. 日照時間100~1500時間(生育期間)
3. 年間降水量500mm~900mm
4. 水はけがよく痩せた土壌

と、このような条件ですので日照量が多く、雨の少ない地域が理想となります。日本は梅雨があり、この時期にも秋雨があるので、栽培条件が決して良い訳ではありません。
(その中でも長野県は、山に囲まれているので台風はほとんど来ませんし、年間1000mm以下の場所が多く雨量は全国的にも少ない)

 5~7月はブドウの樹が展葉(発芽した葉が開くこと)、開花など生育期間ですが、この時期に雨が多いと結実不良になったりカビが付き「ベト病」にかかってしまいます。ベト病は特に葉に多く表れ、白いカビ状の胞子が付き落葉させてしまいます。このため光合成が行われず、結果果実の生育にも影響が出てしまいます。対策としてはボルドー液(硫酸銅+生石灰+水の混合液)散布が行われています。

 また9~10月の収穫時期に雨が多くなると、実に2つの病気が打撃を与えます。まず「灰色カビ病」(※写真1)。雨が降り湿気が高い環境になると、果粒に灰褐色のカビが覆ってしまいます。

 もう一つが「晩腐病(おそぐされ病/ばんぷ病)」(※写真2)。日本ではブドウの病害としては最大のものです。菌がブドウの果皮を侵し腐敗させる病気で、初期は淡褐色の病斑が果皮に現れ、次第に紫褐色となり、果皮は腐敗しミイラ化してしまいます。そして厄介なのは、かかると急激に広がってしまうことです。病果で落とさなければいけなくなるので収量も減り、収穫の手間もかかってしまいます。また、土壌に水分が多いと実にも水分が多く行ってしまうので、ワインになったとき水っぽくなってしまったりと、雨は多くの弊害が生まれてしまいます。

 ただ、天候だけでワインの質が決まるものではありません。栽培も醸造も人の手が加わっています。良い生産者は悪い条件の年ほど畑を観察し、病害にならないよう予防します。なってしまったとしても選果をきちんとし、醸造も注意深く見守りながらワインを造り上げます。ある意味、生産者の実力がワインに現れるのは気候条件の悪い年かもしれません。

 「△△年は雨が多かったけど、〇〇年は良い年でワインも美味しい!」
 こんな話をしながら、その年に何があったか思いを馳せながら飲むのも、ワインの楽しみの一つですね。

 さて、今日もひとまずワイン飲みましょうか。

2016年10月09日


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