暮らしの調味料

昔の夏

小窓にガーゼのカーテン

洗面所の通気口

杏のさしす漬け

 子どものころ、お盆は大きな行事の一つだった。庭周りの草むしりから大人は、障子張り。お盆の棚をこしらえ、提灯を並べる。近所の里山に花を採りに行くのは子どもの役目。芒(すすき)、萩、女郎花(おみなえし)、吾亦紅(われもこう)、撫子(なでしこ)、あっという間に一抱えも持ち帰ることができた。

 ごちそうは天ぷら、えご、塩丸いかの酢の物に、きゅうりの酒粕もみ、大判油揚げの甘辛煮、夕顔の刺身と称して蒸して冷たくし、辛子じょう油で食べる。提灯に明かりが灯され、仏の前で神妙にいただいたことを思い出す。

 まだまだいろいろあった野菜料理。なすの塩漬け、夏野菜のやたらは、このなすの塩漬けを味付けに、きゅうり、しその葉、みょうがの薄切りをもみ込んだ一丼。大人になってなすの塩漬けを再現してみた。10%の塩水に、古釘と一緒に漬けると、昔の味となす紺がよみがえった。

 今ももちろん、我が家の定番。川遊びには、漬け上がったなすを、しその葉に包んで持ち歩き、熱い石の上で体を温めながら丸かじりのおやつ。子どもも野菜も自然と一体で過ごした幼い日の夏。

【写真上】小窓にガーゼのカーテン
 我が家のカーテンは皆、手作り。ガーゼを家庭用染料ダイロン社のエレファントグレーと命名された色で染めた。「象はこんな色をしているのか」なんて思いながら。あまり派手でなく、沈みすぎることもなく、とても気に入っているエレファントグレー。

【写真中】洗面所の通気口
 無機質な通気口がとても気になって、塞(ふさ)げるわけにもいかず、手前に篭をかけ、庭で茂る朴葉で目隠し。枯れたらすぐ取り換え。客も家人も誰も目に止めないけれど、私だけの自己満足。

【写真下】杏のさしす漬け
 梅のさしすに加え、杏のさしすも漬ける。杏は砂糖漬けやジャム、シロップ煮など、色々加工できるが、ご飯の仲間に入れるのは、このさしす漬けだけ。漬け汁のおいしいこと、これも忘れられない。

2017年8月15日


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