暮らしの調味料

食べ納め

屁屎葛(へくそかづら)の薬玉

なすの肉蒸し

大根と手羽煮

 激しい暑さと台風の多い夏がすっかり過ぎ去り、雨の降る日は「寒いわね」と、長そでを取り出す。夜は虫の音に囲まれ、昼はそこはかとなく金木犀が薫ってくると、なぜか焦る。時が新しい季節を連れてくることは、歳を重ねるのに等しい。それもあるのだけれど、もう一度、トマトにきゅうり、なす、これらの夏野菜を味わってみておこうと、地場産コーナーに走る。日に日にきゅうり一袋の値段が上がっている。真夏は3本から5本が100円だったのに、130円、150円、今は160円。1本50円以上かと、思いながら「食べ納め」を味わう。

 やはり、きゅうりもみ。薄切りにして少々の塩でもんで水分をしぼり、そこに少し漬かり過ぎたなすの糠漬けをみじん切りにして加える。混ぜ込むと、塩分もいい塩梅。北信地方の「やたら」に近い食べ方。やたらは本来、みそ漬けを用いるのだけれど、糠漬けも十分役目を果たす。おいしく「食べ納め」を終わり、私は歳を重ねていく。

【写真上】屁屎葛(へくそかづら)の薬玉
 秋も深まると、黄褐色の玉になるけれど、紫色のかわいらしい花が散ると、若々しい青緑の玉になる。あまりの美しさにオアシスに巻き付け、楽しむ。下には、電池式のろうそくを灯し、初秋の色に見入る。

【写真中】なすの肉蒸し
 天龍村の大きななすをお土産にいただき、早速輪切りにし、間にひき肉を挟み、蒸す。このなすは、ていざなすと言うのだけれど、果肉が軟らかく、とろけるような舌触り。上にプチトマトを載せて一緒に柚子しょう油で。

【写真下】大根と手羽煮
 まだ夏大根の、と呼ばれる季節で、虫の音が聞こえても、本格的な冬を迎えるためのおいしい大根ではない。少し辛味があって、硬くて、なぜか、突っ張ってるような、尖っているような様子が「人間に例えると……」と、あれこれ「誰かな?」と捜しながら、笑いながら、鶏手羽と煮込む。煮上がりには突っ張りと尖りがすっかりとれていた。

2016年10月01日


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