暮らしの調味料

ある日の夕食

切溜(きりため)

お茶道具

春の茶托

 大阪の友達から「畑から今日、抜いてきたの」と、若ごぼうが届いた。毎年のことで、「ああ、その季節なのね」と。こちらは、三寒四温の中、雪がちらついたりしているのに、のびのびと、青々とした野菜に、「そちらは暖かいこと」と、恨み節を一言、つぶやいてみる。

 根は親指太さの15センチほどで、とてもごぼうとは言えないけど、茎はまるで蕗のように長く40センチ、葉は同じく蕗そっくり。全部が食べられる。根と茎はきんぴらに、葉はつくだ煮が常だけれど、今年は地粉を少し絡めててんぷらにしてみた。苦味の強いきんぴらに、体が揺さぶれるような快感。一度油を通った葉は、穏やかな味になった。ありがたいこと。一つの食材でふた品も出来てしまって。

 主食はいなり寿司。しかも大豆にごま、くるみ入りで、「福々稲荷」と勝手に命名し、お気に入り。(油揚げもじっくりゆでて油抜きし、好みの味で煮た)後は、ほうれん草のおひたし、赤大根の粕漬け、酸味のきいた野沢菜漬け。

 メーンは鶏肉のハム。ゆでた汁で残りの白菜を鍋一杯じっくり煮込んで、具沢山とする。こんなにお気に入り手作りメニューを並べて、早春の夕食。元気な幸せな夕食のあったこと、決して忘れないでおこうと思う。

【写真上】切溜(きりため)
 我が家の重宝な長方形入れ子。毛氈(もうせん)を敷いて、色とりどりの漬物を詰めただけなのに、おいしそう。赤大根、紫大根の粕漬け、秋に漬けた大根の糠漬け。私は葉ごと漬けこみ、みじん切りにして食べる。もう一つは菜の花のおひたしにわさびじょう油がけ。切溜は昔、ボウルのようなもので、野菜を切って溜めたり、料理の持ち運びに使ったそう。今は重箱としての役目も多く、たとえ漬物でも、ふたを取ったときの感激はひとしお。

【写真中】お茶道具
 折りたたみ式の箱で竹の皮の表面に美しい布が張られている。お茶席の残り物をそっと入れて持ち帰る道具として使われている。何と美しく賢い箱なんでしょう。この箱一つをとっても、日本文化の奥深さを感じます。

【写真下】春の茶托
 春になると使う茶托。桜と梅を型取ってある。金属製で重く、地味だけれど、花柄の手拭いの上に、菜の花と一緒にしつらえに。

2016年4月01日


バックナンバー

楽しむ

エンタメコラム
特選お役立ちコラム
中島麻希 信州FOOD記
成沢篤人 それはさておき、ひとまずワイン
横山タカ子 暮らしの調味料
東京アート日和
信州スポーツ
信州お天気手帖
イベント情報
イベント情報投稿
書籍・CDランキング
グローバルメニュー
  • 信毎デジタルパスポート
  • 信毎の本オンラインショップ
  • 信毎イベント&チケット
  • 信毎オリジナルグッズ