暮らしの調味料

夏と秋のせめぎ合い

白兎

これで乾杯

ライトの月見

 実は9月、お彼岸前の朝、ストーブをたいてしまいました。寒さに耐えられなくて。長野の最低気温が8度台まで下がったその朝のこと。「うちはえびす講が暖房の目安です」と、嫁いだとき、言われた姑の決め事を忘れたわけではないのだけれど、仏壇に「うふっ」と、笑いかけながら。昨日まで半袖姿、家の建具は夏戸にすだれだというのに、ストーブの暖かさが何と心地よいことか。

 ああ、もうトマトにきゅうりになすが来年の夏まで食べられないと、地場産コーナーで、焦るように買い求めます。「まだ、露地ものですよねえ」と、定員に確かめながら。「今日もトマトもきゅうりもおいしいじゃない。なすだってまだまだ固く締まってはいないぞ」と、おいしさの確認。知り合いから栗にあみたけ、まいたけ、それに、松茸まで届いたのに。秋の虫は一杯に鳴き、彼岸花が咲き、金木犀も香るのに、行く夏ばかりを惜しみ、秋に急ブレーキをかけて。

 山の雑きのこはなすと一緒に煮ると、毒消しになると、昔の人は言います。何の根拠もないそうで、毒は毒とのこと。きっと今ごろの季節なんでしょう。秋のきのこと、末の初物のなすの出会いを楽しんだに違いない証拠ですね。

 朝晩の寒さが日ごとに増して、山々の木々が色づくとすっかりあきらめて、秋を受け入れるのだけれど。晴れ晴れとした夏野菜への執着は何だろう。自分の人生の、夏と秋のせめぎ合いなんでしょうね。寂しいな。

【写真上】白兎
9月、10月はお月見の季節。毎年、登場の白兎。12年に1回しか出番のない気の毒な干支(えと)も多い中、兎は「恵まれているね」とばかり、大切になでながら飾っています。庭の萩と、水引草を一緒に。

【写真中】これで乾杯
日本酒の瓶に、月の満ち欠けを染め抜いた手ぬぐいを被い、竹の酒器と数種の酒杯(さかずき)、肴(さかな)も入れて。お月様の一番近い所で、手元だけ照らし、乾杯。

【写真下】ライトの月見
「今夜はお月見をしましょう」と、せっかく、友達の集まりなのに。月はまったく顔を出さない。そんなとき、カメラマンのアイデアで、ライトの月見。「えっ、素敵」。フロアスタンドに、る紅草をからませた向こうに満月。何だ、月より団子ですね。

2014年10月01日


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