暮らしの調味料

私の「自画像」

木賊(とくさ)に初夏を託して

茶わん蒸し

洗面所の手ふき

 昭和の時代から続けている料理の仕事が、もう30年以上になります。仕事というより専業主婦の私が、料理するのは当たり前で、日常がそのまま仕事になったようなものです。

 先日、その時代に料理教室に通ってくれた方に会いました。「あの時のレシピなの」としっかりファイルした綴りを見せてくれました。

 「恥ずかしい!」。幼い稚拙な手書きで、コンビニに走っては、コピーしたことを思い出しました。「ここは、こうして、こんな形に切って」と、図まで書いて、一生懸命でけなげ、とも思えるレシピ。これがあの時の私なのだ、これは、私の自画像そのものだ、と。

 あのころは、使う調味料、しょう油、油、みりん、みそなどを問う人はまだいませんでした。あれから私も勉強を重ね、今は使わない、使ってはならないと、本物を選べる目も備わりました。

 見せてくれた方に「もう、捨ててください」と頼むと、「いえ、まだ使っているんです」と返事。ありがたいのか、苦しいのか、困ってしまいます。

 書店には「江戸料理」などの本が並んでいます。「なるほどねえ」と感心する素材の使い方。私も、どんなに時代というふるいにかけられても「これはいい」と言っていただけるレシピを残さなくてはね。自画像に話しかけています。

【写真上】木賊(とくさ)に初夏を託して
初夏の木賊(とくさ)の美しさ。常緑の植物ですが、真っすぐに伸びます。物を研ぐのにも使われ、繁殖力旺盛な性質にあやかりたいのか、「木賊文様」の器や布柄などたくさん。木賊を花瓶いっぱいに活け、剣山代わりに。大山れんげを一輪。

【写真中】茶わん蒸し
木賊文様の器に茶わん蒸し。我が家の朝食定番。

【写真下】洗面所の手ふき
木賊柄の洗面所手ぬぐい。家中、木賊文様にして、初夏気分満喫。最大自己満足の世界。

2014年6月15日


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