暮らしの調味料

残された夏

糠漬け

畑の花

私の盆栽

 夜中にふと目覚め、用を足すと、掛けてある夏の帽子が家の中まで差し込む満月に照らされていた。白々と寂しげに、さらに寒そうな様子で。

 彼岸花も金木犀も散り、すっかり秋の深まりの中、残された夏の発見である。簾に麻のれん、竹のマットに竹製の茶托。さんざん、お世話になった蚊取り線香立てまで。いざ、秋の気配を察知するやいなや、「まだ、とどまってほしい」と、夏の裾を引っ張って懇願する私のために、それらは、じっと出番を待っている。でも、何とも今に似合わない。おいしい、おいしいと食べ続けた糠漬けのきゅうり、なすも「何だか食べたくなくなったわ」と、家人に言ってみる。「しようがないわね。朝晩寒いもの」と独り言。

 そろそろ、本格的に季節の切り替えスイッチを入れなくては。だが、どうしても寒さに向かうスイッチは重い。春は「まだなの」と、首を長くしているのに。夜、寒さの余り、冬用のカーディガンを着ると、手首をおおうぬくもりに、こんないいこともあったわね、と気持ちがようやく次の季節に向かう。繰り返す四季に寄り添いながら、いろいろな思いを折り込む。

【写真上】糠漬け
「寒いね」と言いながら「最後にしよう」と、糠漬けのきゅうりとなすを樽から出して食卓に。真夏は2時間もあればすぐ漬かってしまったのに、今は2日樽においても大丈夫。糠ももう来年まで休みたいと言ってるらしい。

【写真中】畑の花
 風に吹かれ、冷たい雨に打たれ、まだ畑で咲いていてくれる百日草たち。夜は満月の光に満たされて生き延びてくれて。

【写真下】私の盆栽
 手作りで仕上げた小さな庭。茶筅羊歯(ちゃせんしだ)という名の、小さな羊歯がいとおしい。本当にお茶でもたてられそうな形。抹茶碗を脇に置いてみた。

2017年10月15日


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