信州FOOD記

淡竹(はちく)で地域を豊かに~西山淡竹の会~

淡竹の収穫を体験。力を込めても中々折れませんでした。採りたての淡竹を刺身で

<右上>西山淡竹会の(左から)大日方さん、松坂さん、本道さん <左>1ケースは20kgほど入り、多い人で5ケース持ち込むそうです <右下>整備され、陽があたる竹林には淡竹もたくさん出ていました。 ③(左上)淡竹は1日最大50cm以上伸びるものもあるそうです

<上>淡竹は1日最大50cm以上伸びるものもあるそうです <中>帰宅後、まずはアク抜き <下>夕食で、採った淡竹ずくし(煮物、竹の子汁、竹の子ご飯)

 「長袖OK!長靴OK!軍手OK!虫除けスプレーOK!」。ちょうど昨年のいまごろ、この信州FOOD記の取材で行った「根曲り竹」の収穫。翌朝、数カ所蚊に刺されたところが腫れ上がったことを思い出し、“完全防備”で長野市中条に向かいました。

 この時期、長野市西部の「西山地区」で採れるのが、竹の子「淡竹(はちく)」です。今回、「西山淡竹会(にしやまはちくかい)」の松橋清美さん(63)に収穫の案内をしていただきました。西山淡竹会は「母さんの玉手箱本舗企業組合」の中の一つの組織で、松橋さんは理事をつとめています。

 県道沿いに車を停めた松橋さん。山の中の竹林を想像していたのですが、ふと横を見ると道路沿いに竹林。そして地面には数えきれないほどの竹の子が顔を出しているではありませんか! 驚きました。大きいもので太さ10センチほど、長さ50センチ以上はあります。まさか、こんなに人里近いところにあるとは思いませんでした。西山地区は、長野市信州新町、中条、七二会、そして小川村周辺の総称。西山地区の特産が、この竹の子です。

 西山地区は傾斜地が多く、土砂崩れが発生しやすい地域のため、「土砂どめ」として竹が植えられた歴史があります。竹は根を広げやすい性質があり、日本の多くの場所で土砂どめとして植えられていたそうです。その性質だけにどんどん広がり、管理をしないと竹林どころか“竹やぶ”となってしまいます。

 西山地区も高齢化が進み、竹林の管理がままならず、竹やぶとなっているところがたくさんありました。平成21年4月、地域活性化支援のグループとして「西山淡竹会」が発足しました。西山淡竹会は、竹やぶになってしまった竹林の整備と管理のほか、淡竹の買取、加工をしています。

 西山淡竹会の管理地は現在約20ヘクタールあり、そこで取れた淡竹は市内のスーパーや青果店へ出荷されます。そのほか、西山地区の方が収穫した淡竹の買い取りも行っています。西山淡竹会の会員は週に3日、中条と信州新町の決まった場所へ収穫した淡竹を持ち込みます。主に水煮缶となるそうです。形のばらつきが出ないように太さ3センチ、長さ30~40センチ、穂先をカットするという基準を設け、シーズンを通して1キロ130円で買い取っています。

 会員の大日方司朗さん(70)は、「西山淡竹会ができたことによって、親戚や知り合いに配るだけだった淡竹が特産品として“商品”になった。竹林の整備も進み、日当たりがよくなったことで収穫量も増えている」と言います。今年は例年に比べ、約1週間生育が遅いそうですが、出来は良いそうです。会員数も増え、現在120名。今年は管理地の生産量20トンを目標にしているそうです(竹の子は1年おきに多い年、少ない年と交互になるそうで、昨年の実績は13トン)。

 この日、初めて淡竹を持ち込んだ長野市川中島の大田善一郎さん(72)は、小川村に竹林を保有しています。「今まで仕事があってなかなか竹林の整備が出来なかったけど、定年退職し、昨年から整備を始めた。ご先祖様から預かった大切な山を大事にしていきたい」と、今年から西山淡竹会の会員になりました。

 さて、私の淡竹狩りですが、根曲り竹採りのときのように「竹やぶをかきわけかきわけ」というわけではありませんでした。淡竹の採り方は、よくテレビで見るようなクワで土の中から掘り起こすのではなく、根曲り竹と同様、根元から折ります。ただ根曲り竹よりもやはり太いため、より強い力が必要。一番太いものは中々折れませんでした。

 そしてここで初体験! 採りたて、むきたての淡竹を生で食べさせていただきました! アクも少なく穂先の部分をかじるととてもやわらかく、“青い味”がしました。わさび醤油でも持参すればよかったかなぁ~。そのほか、煮物や竹の子汁、竹の子ご飯にしていただきました。松橋さんのオススメは竹の子汁だそうで、「西山地区で淡竹と同じ時期に採れる新タマネギを入れて食べるのがうまい」と教えてくださいました。

 最近はイノシシの被害が顕著だそうです。イノシシは竹の子の根のあたりにいる虫を食べる習性があり、掘り起こされてしまうよう。イノシシは虫が目的のためタケノコ自体は食べなかったそうですが、最近は皮を剥いて食べた痕跡があるのだとか。イノシシも美食化しているのでしょうか…。

 淡竹の収穫は6月中旬まで続きます。旬の味覚、楽しみませんか?

2017年6月07日


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