信州FOOD記

お祝いを彩る桜の塩漬け〜松川町

農家から持ち込まれた花を計量します。1ケースは5kgです

酢に浸し、水分を切ってからコンテナに入れ、塩と混ぜ合わせます

(上)漬け込むと濃いピンク色に (中)収穫時期を迎えた「関山」 (下)お祝い事に欠かせない桜茶

 昨年より遅かった桜のシーズンが県内でもほぼ終わります。皆さん、お花見には行きましたか? 私は何箇所か行きましたが、高山村の一本桜「黒部のエドヒガン桜」がとてもきれいでした。

 桜といえば、結婚式の控え室で出されるお茶は、桜の花が入った「桜茶」ですよね。それに使われる“桜の花の塩漬け”が実は県内でも作られていることを知り、取材に行ってきました。向かった先は南信、松川町です。

 山間に入ったところにある「JAみなみ信州生田支所」で桜の花の塩漬けが作られています。使われる桜は、「関山(かんざん)」という八重桜。ソメイヨシノなどに比べて色が濃く、塩漬けに向いています。毎年4月下旬からGWにかけて塩漬け作業が行われますが、今年はやや遅く、4月25日ごろから収穫がはじまりました。

 農家の方は午後3~4時の間に、生田支所に桜の花を持ち込みます。少ない人で5キロのカゴ2つ。多い人は10カゴほど持ち込んでいました。漬け込むのはJAの職員と、塩漬けの納品先である神奈川県小田原市の業者。まずは2カゴぐらいずつ酢にさっと浸します。ザルですくって水分を切ったら大きなコンテナに入れ、塩をかけます。前に漬けてあったものと合わせ、さらに混ぜ合わせていきます。前かがみになっての作業はとても大変そうでした。

 この日は300kgほど漬け込まれました。収穫期に雨に降られてしまった昨年は生産量が少なく3tほどでしたが、今年は天候にも恵まれ、例年通りの4tを見込んでいるそうです。この関山、花だけではあまり香りはしませんが、酢に浸し、塩をふることで桜特有の香りを放っていました。「桜餅」のような香りですね。前日に漬けたタンク内の桜は色も濃いピンクとなり、とてもきれいでした。

 ここで漬けられた桜は地元消費分の少量を残し、ほとんどが小田原市の業者に納入され、全国で販売されます。主に桜茶やお祝いごとに食べるちらし寿司に使われるそうです。元々、松川町は小梅の生産が盛んで、この小田原の業者に小梅を納めていました。40年ほど前、食用の桜の需要が高まり、松川でも八重桜が生産できないか―ということで木を植え、栽培がはじまりました。現在、樹齢40年ほどの桜がほとんどなのはそのためだそうです。

 JAみなみ信州販売課の遠山実さんによると、塩漬けの需要は年々増えているものの、生産者の高齢化で生産が追いつかないそうです。「今年はそれでも作業がGWに重なったことで、普段は町内に暮らしていない家族の帰省などもあり、手伝ってもらった人も多かった」と話していました。

 この日、桜の花を30kgほど持ち込んだ小原さん(松川町)は「今日は今年3回目の納品。状態はとても良い」。同じく大蔵さん(同)も10kgほど持ち込み、「今年は収穫が遅いけど花はとても良い。その日によって咲き具合いが違うから大変」と話していました。

 色、香り、そして桜の持つ雰囲気がお祝いにぴったり。この南信州の地で採れた桜の花が、全国各地のお祝いの席を彩っていると思うと何だか幸せな気分になりますね。と言いつつ香りを嗅いでいたら、桜餅が食べたくなりました(笑)。信州では、5月にお花見ができる地域もあります。残り少ない春を満喫したいですね。

2017年5月10日


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