信州FOOD記

「信州味噌」を未来へつなぐ~初めての味噌作り~

(上)芋川さんから説明を受ける児童たち(中)材料を計量(下)よく混ぜ合わせます

(上)「冷たい!」「粘土みたい!」と声を上げる児童たち(下)これから約半年、芋川糀店で寝かせたのち、児童たちに届けられます

(上)『信州発!一杯の味噌汁プロジェクト』の飯島さん(右)とメンバーの皆さん。(中)味噌ボール作り体験。具材と味噌をラップに包み、お湯を注ぐだけで味噌汁ができます。(下)1回分の味噌ボール

 「長寿県」として今や全国的に知られている長野県。長寿の要因の一つに、味噌や漬物など発酵食品の摂取量が多いということが挙げられています。今回はそんな味噌作りの現場を訪ね、伝統食としての味噌を考えてみたいと思います。

 今回訪ねたのは、中野市牛出の味噌製造「芋川糀店」。この日は、中野市立高丘小学校(同市草間)の2年生25名が味噌作り体験に来ていたので見学させてもらいました。みんな味噌作りは初めて。子どもたちは給食着に着替え、5班に分かれて味噌作りに取り掛かりました。材料を量ったら、蒸して潰した大豆と糀を酵母菌を加えて混ぜる作業。「思ったよりかたい!」「粘土みたい!」と声をあげながらとても楽しそう。私も触ってみると、本当に粘土のような感触でした。

 2年生は夏の間、食物の成長の授業で大豆を栽培するそうです。今回の味噌作りは、自分たちが育てた大豆を使いました。「今日作る味噌は白いの?」「いつ食べられるの?」という子どもの質問に、代表取締役の芋川嘉寛さん(41)は「これから半年ぐらい時間が経つにつれて、発酵して色がどんどん濃くなっていくんだよ」と説明していました。担任の宮﨑のり子先生は「食物の成長を学び、学校の近くにある芋川糀店で味噌作りを体験することで、食の大切さを学んでほしい」と話します。

 この日作った味噌は同店で発酵させ、半年後、1キロずつパック詰めして児童たちに届けるそうです。「どんな味になるのか楽しみ!」「どんな色になるのかな」などとワクワクした笑顔で、樽に仕込んだばかりの白い味噌を見つめていました。

そういえば今から30年ほど前、私も小学校2年生だった頃、授業で大豆を育て、その大豆を使って豆腐を作ったことを思い出しました。実は、それまで豆腐は苦手だった私。自分で作ってみてその美味しさに驚き、以来豆腐が好きになりました。種をまき、芽が出て花が咲き、実がなる—という過程を観察してきた児童たち。その豆を自らの手で混ぜ、樽に詰める作業をすることで、味噌への興味が湧いているようでした。

 米の消費量が年々減るなど全国的に「和食離れ」が進み、食の欧米化が加速しています。芋川糀店は年間を通して味噌を仕込んでいますが、その量も年々減少気味だそうです。味噌をそれぞれの家庭で作る、いわゆる「手前味噌」は今では本当に少なくなりました。それでも、味噌作りを体験することで食べることの大切さ、和食や信州の食文化の素晴らしさを少しでも感じ取ることができるはず。子どもたちには、そんな日本の食文化を将来につなげてほしいと思いました。

 「信州発!一杯の味噌汁プロジェクト」は、1日1杯は食卓に味噌汁が並ぶ食習慣を広げ、信州の家庭ならではの「味」の継承を目指そうという活動です。代表の飯島美香さん(50)=長野市篠ノ井=は、「あったかいごはんと味噌汁があれば元気になれる。ホッとできる。『味噌汁は朝の毒消し』と言い伝えられ、日本の食文化になくてはならないもの。信州の食文化代表格として『味噌』のすばらしさに着目し、考える機会を持ちたい」と言います。

 味噌といえば信州味噌が全国的に多く食されています。子どもたちに「家でお味噌汁飲む?」と聞いてみたところ、毎日飲むという子どもが多い中、「たまに飲むよ」「朝はパンだからあんまり飲まない」という声も聞かれました。
手間がかかることから料理をせずに買ってくることも多くなってきた現代の食卓。「長寿県・長野」が注目されている今、長寿と大きく関係がある「食」を見直すきっかけにしてほしいと思います。

 半年後、子どもたちの元に届く「手前味噌」。きっと今まで食べたことのない美味しさを味わうことになるのでしょうね。

2017年3月10日


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