信州FOOD記

村のお土産「柚餅子」~泰阜村~

泰阜村柚餅子生産組合の松下良子さん。現在はお嫁さんと二人で柚餅子作りをしています

乾燥中のゆべし。約2ヶ月半、じっくり乾燥させます

竹の皮で包まれた「五百石ゆべし 柚っ子」のパッケージ。半月形になるべく薄く切ると見た目もよく、美味しいそう

 南北に長い長野県。南の端に行くと柑橘類が収穫できるのをご存知ですか? そしてその柑橘類を使った郷土の味があります。今回はその味を求めて、下伊那郡の泰阜村に行ってきました。

 毎年11月になると実るゆずの実。泰阜村でこのユズを使って作るのが「柚餅子(ゆべし)」です。昔、泰阜村のあたりでは、年貢の代わりに「くれ木」を山から出して徳川幕府におさめていました。上納が済むとお祝いの祭り「くれ木祭」が行われ、その頃からこの柚餅子はあったそうです。柚餅子について、泰阜村柚餅子生産組合の主任、松下良子(よしこ)さんにお話を伺いました。

 昭和34年に20歳で松川町から泰阜村にお嫁に来た松下さん。その当時、松下家のお舅さんが村長を務めていました。当時、商品として柚餅子は販売されておらず、全国村長会など会議がある時には、お土産用に手作りした柚餅子を持って行っていたそうです。当時この柚餅子の存在を知らなかった良子さんは、初めて食べた時に驚いたといいます。

 柚餅子というと、石川県の輪島など全国的にお菓子として食べられているものが多いですが、泰阜の柚餅子はご飯のおともであり、お酒のつまみであり…。というのも、泰阜の柚餅子は「味噌味」なのです。クルミとゴマが入った味噌味の柚餅子は、20歳だった良子さんの口に合うものではなかったとか。「苦いし、しょっぱいし、どこが美味しいの?」と。しかし、お舅さんや義理の妹さんに教えてもらいながら柚餅子の作り方をマスターしました。そして、昭和52年に組合を立ち上げ、以来良子さんが中心となり、柚餅子を製造し販売しています。それが現在に続く「五百石ゆべし 柚っ子」(864円)です。

 「きちんと販売する前は味が多少違っても許された。でも、商品として販売するとなると話は別。18年かかってレシピを作り、今では安定した味で、後々まで続けていける」と良子さん。組合では毎年12月初旬から2月まで柚餅子を作ります。今年は50本の木から採れたゆず1万500個を仕込んだそうです。

 柚餅子の作り方はまずユズをくり抜き、「ユズ釜」という器を作ります。その中にクルミ、ゴマ、味噌、上新粉、グラニュー糖で作った具を詰め、蒸します。それを約2ヶ月半干しあげると完成。昔は和紙で包んでから紐でくくり、縁側に吊るしたそうですが、現在は室内で乾燥させます。出来上がった柚餅子は、近隣の道の駅や直売所、そして銀座NAGANOなど、県外でも販売されています。

 一口食べると、クルミとゴマの風味が効いた味噌の塩気と、ユズの苦味、そしてほのかな甘みを感じ、多くの人が“あとを引く”とうのも納得です。茶道のお点前に使ったり、お茶請けにしたり、ご飯のお供にしたりと万能な柚餅子ですが、私はやはりこの柚餅子をおつまみに、信州の地酒をチビチビと飲むのが一番だな、と思いました。一つ、また一つと進んでしまいました。

 手間暇かけて手作りした柚餅子、皆さんも是非食べてみて、一番の組み合わせを探してみてください。柚餅子を干し柿で包んだ「柿巻きゆべし」(1,000~1,200円程度)もおすすめです。

2016年3月09日


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