信州FOOD記

大人の工場見学~平林産業編~

冷凍舞茸を作る作業。工場内に液体窒素の煙が立ち込めていました

液体窒素が30トンまかなえるタンク。連日補充が行われています

“6次産業プランナー”でもある平林社長(左)と職場長の荻原さん

 信州には、農産物や郷土食など県内外に誇れる“食の財産”が沢山あります。そして、全国的にも有名な食品加工工場が数多く存在しているのも特徴です。「寒天」や「凍(し)み豆腐」などなどいろいろな加工工場がありますが、近年、その機能性も注目されている「えのき氷」を作っている平林産業(本社:長野市)の佐久工場へ“社会見学”に行ってきました。

 佐久市にあるこの工場では、青果の冷凍、搾汁、乾燥等を行っているほか、えのき氷や冷凍きのこなどを作っています。加工品の輸入が増えるなど、国内の食品加工工場が減少する中、同社の年間の総生産量は3,000トンにも及ぶ規模です。

 さすが食品を扱う工場だけあって徹底的な衛生管理がされています。私も衛生服に身をつつみ、手を念入りに洗い、ローラーで服のゴミを取った上で工場内へ入らせていただきました。この日は冷凍の舞茸を作っている真っ最中。「窒素浸漬式連続凍結装置」から液体窒素の煙がもくもくと立ち込めていました。舞茸をほぐし、蒸して冷まし、液体窒素に漬けて冷凍したものを袋詰めするところまでがライン上で行われていました。きのこは冷凍しても、歯ごたえや機能性は失われないのです。

 工場で使う液体窒素は多い日で1日10トン。敷地内に30トンの液体窒素のタンクがありました。これほどの設備は県内でも最大規模だそう。日によって加工する食品もさまざまで、作るものによって、機械の組み合わせや配置を変えています。冷凍のきのこ類は県内だけでなく、全国各地の学校給食施設や大手食品加工メーカーに出荷しています。「お客様のオーダーに応じて、細やかな加工ができることが強み」と、佐久工場職場長の荻原聡さん。きのこの売り上げが落ちる夏の暑い時期に重点的に生産を行い、年間を通して安定供給ができることで需要が年々高まっているそう。

 生産量が一番多いのは「冷凍ぶなしめじ」で、年間250トンを誇ります。こちらも液体窒素を使って冷凍します。もう一つの主力が、えのき氷。えのき茸をペースト状にし、1時間煮詰めて凍らせたものです。簡単に作れそうですが手間がかかるため、家庭で作るのは大変。平林産業による商品化は、えのき氷が世に広まるきっかけともなりました。

 実は、社長の平林京子さんが5年前に「きのこマイスター」を受講した際、えのき氷の存在を知ったそうです。“思い立ったら即行動”がモットーの平林社長。「これは我が社の設備で出来る!」と確信し、すぐに加工を始めました。えのき氷は血清脂質改善効果や抗アレルギー効果、糖尿病予防効果があることが科学的に認められています。機能性に加え使いやすさからも一大ブームとなり、スーパーやコンビニでも販売されるようになりました。今では、たまねぎをペースト状にして凍らせた「たまねぎ氷」も商品化しています。

 「きちんと衛生管理をし、加工していることが大手食品メーカーさんの信頼を得ている。これからは充実した設備を生かしてお惣菜を作ったり、長野県産の農作物を使った新製品を県内外に発信していきたい」と平林社長。社長のほか、工場で働く一人一人がとても充実しているように見えました。産地に直接足を運び、素材選びにまでとことんこだわる平林社長の熱い思いが社員にも伝わり、活気ある工場になっているのだと思いました。

2015年7月11日


バックナンバー

楽しむ

エンタメコラム
特選お役立ちコラム
中島麻希 信州FOOD記
成沢篤人 それはさておき、ひとまずワイン
横山タカ子 暮らしの調味料
東京アート日和
信州スポーツ
信州お天気手帖
イベント情報
イベント情報投稿
書籍・CDランキング
グローバルメニュー
  • 信毎デジタルパスポート
  • 信毎の本オンラインショップ
  • 信毎イベント&チケット
  • 信毎オリジナルグッズ