信州FOOD記

清々しい新緑の中でいただく「岩魚の塩焼き」

多くの観光客が訪れる上高地。中部山岳国立公園の一部で、国の文化財(特別名勝・特別天然記念物)に指定されています

囲炉裏の火でじっくり焼く「岩魚の塩焼き」(1,000円)。ピーク時には、ぐるっと一周、岩魚が並ぶそう

岩魚の香りが立つ「岩魚の骨酒」(2,000円)

 山の新緑が美しい季節です。明るい緑色の木々の中を歩くととても気持ちが良いですね。さて今回は、そんな新緑を目一杯感じることができる上高地で「美味(おい)しいもの」に出合いました。

 北アルプス南部、梓川上流に位置する標高約1,500mの上高地。国の文化財にも指定された国内有数の景勝地です。梓川に架かる「河童橋」から望む山々の風景、大正池や明神池など、山、緑、水が織りなす上高地は「神の降り立つ地(神降地)」とも称され、年間約150万人もの観光客が訪れています。

 環境保護を目的にマイカーの乗り入れを規制しているため、上高地へはバスかタクシーで入ります。長野から向かった私は、沢渡地区の駐車場に車を停め、バスに乗り換えて30分ほどで上高地バスターミナルに到着。そこから歩いて上高地を散策しました。上高地の中心ともいえる河童橋周辺には、溢れるほどの観光客の姿が。海外からの観光客も大勢いました。このエリアにも宿泊施設や飲食店がたくさんありますが、この日、私が目指した美味しいものは、ここから更に1時間ほど歩いたところにあります。

 整備された遊歩道を通って目的地の明神池に向かいます。ところどころで目に入る清流は、驚くほどの透明度。新緑の木々からの木漏れ日やそよぐ風はとても気持ちよく、山の醍醐味を感じながら到着しました。明神池は一之池と二之池、二つの池があり、池畔には「穂高神社奥宮」が鎮座する神域。拝観料(300円)を払って池畔に入ります。神々しさを感じる明神池。神聖な空気を吸うと、1時間歩いた疲れも吹き飛びます。

 明神池に流れ入る宮川のほとりに建つ「嘉門次小屋(かもんじごや)」。ここに、目的の「岩魚(いわな)の塩焼き」があります。嘉門次小屋は、日本近代登山の父、W・ウエストン夫妻の山案内をした上條嘉門次が明治13(1880)年にこの地に創業した135年の歴史を持つ山小屋です。現在のご当主、上條輝夫さんは4代目。創業当時の面影を残す大きな囲炉裏で焼く岩魚の塩焼きが名物です。

 小屋の前にある生簀(いけす)から上げた岩魚をすぐ串に刺し、囲炉裏でじっくりと約40分焼きます。楢の木を使った「強火の遠火」が焼き方の秘訣だそう。清流で引き締まった身に、絶妙の塩加減。こんがりと焼き上がった岩魚を頭から尻尾まで、あっという間に平らげてしまいました。多い日は1日500本売れることもあるといいます。塩焼きのほか、これだけを目指して来るお客さんもいるという「岩魚の骨酒」も名物です。囲炉裏の上で2日間燻(いぶ)した岩魚に、お燗したオリジナルの日本酒「嘉門次」を注ぎ入れるお酒。とても香りが立ち、2〜3分待つと更に香りが増すそうです。

 この嘉門次小屋は宿泊も出来、夜には囲炉裏を囲み、岩魚を肴に日本酒を楽しむこともできるそう。「喜んで下さるお客様がいる限り、この地で嘉門次小屋を続けていきたい」と、オーナーの奥様の上條久枝さん。

 清々しい空気と、美しい景色、そして美味しい“岩魚の塩焼き”。ぜひ上高地を訪れてみてください。

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嘉門次小屋(かもんじごや)
松本市安曇上高地
TEL:0263-95-2418 (冬期 0263-33-8434)
https://kamonjigoya.wordpress.com/

2015年5月26日


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