信州FOOD記

ずっしり、モチモチ、灰焼きおやき

犀川を中心に山々に囲まれた生坂村。のどかな風景をみながら頂く灰焼きおやきは格別

熱い灰の中で蒸し焼きにしているおやき。じっくり焼かれたおやきは旨味たっぷり(勝家おやき店)

野球ボールほどもあるおやき。そのおいしさに、つい2個目にも手が伸びる

 信州の郷土料理代表といえば、やっぱり「おやき」と言う人が多いのではないでしょうか? 一言でおやきと言っても、焼いたもの、蒸したもの、揚げ焼きしたものなど、地域や家庭によっていろいろな製法のおやきがあります。今日はその中でも、いちばん“ずっしり”したおやき、「灰焼きおやき」をご紹介します。

 長野市から、国道19号線を走ること1時間。四方を山に囲まれた自然豊かな生坂村に、灰焼きおやきを探しに行ってきました。

 灰焼きおやきはその名の通り、直接灰の中に入れて焼いたおやきのことで、この生坂村と大町市八坂地区(旧八坂村)周辺の名物です。寝かせた粘りのある生地に具材を詰め、まずはほうろくなどで焼き目をつけた後、それを熱い灰の中に入れて、30分ほど蒸し焼きにします。焼きあがったおやきの灰をを払うために叩いたり、吹いたりするので、この仕草は笛太鼓にたとえられるそう。

 「おやき」の元祖とも言われているこの灰焼きおやき、野球ボール大ほどある大きさで、外皮はパリっと、内側の皮はずっしり、モチモチ。具もたっぷり入っていて、噛めば噛むほどに味わいが増すおやきです。腹もちが良いのも特徴で、1つ食べれば「食べた〜!!」という満足感が得られ、素朴ながらも旨味たっぷりの味が“また食べたい!”と思わせる要因なのでしょう。

 灰の熱気に包まれた作業場は、おそらく夏は蒸し風呂と化しそうですが、明るい声が飛び交い、この地区の方たちの人柄が、このまん丸のおやきに表されているよう。

 この周辺では昔、稲作が行われておらず、お米の代わりに「粉もの」をよく食べていたそうです。各家庭には囲炉裏があったので、灰焼きおやきが広まっていったと言われています。作ったおやきを囲炉裏の隅の方の灰の中に入れておけば保温もでき、いつでも温かく食べられる。朝も昼もおやきを食べ、夜はこれもまたこの地域の郷土料理の「おざざ(野菜と一緒に味噌で煮込んだ手打ちうどん)」を食べていたとか。まさに「粉」に密着した地域だからこそ、製法も変わらず、受け継がれてきたのかもしれません。

 県内外問わず、多くの人に愛されているこの「灰焼きおやき」。この地域内、どこのお店も焼いたそばから売れて行くそうで、焼くのに時間もかかるため、行く前に予約をして行った方が確実です。

2015年3月21日


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