信州FOOD記

弥生の彩り〜やしょうま〜

左からゴマ、甘味、ノリ。子どもにはやはり甘味が人気だそう

模様はお店、各家庭によってさまざま。もっちりした食感です

硬くなってしまったら少しあぶって、砂糖醤油などをつけて食べてもおいしい

 3月です。3月といえば雛祭りやお彼岸など、行事も満載。3日は雛祭りでしたが、信州ではひと月遅れで4月に行う地域も多いです。

 一般的に雛祭りには、蛤(はまぐり)のお吸いもの、菱餅、白酒、ひなあられ、ちらし寿しなどを食べます。信州ではこれに加え、小豆餡(あん)の草餅を食べるところもあります。いずれも女の子の健やかな成長を願ってのものです。

 そして、春分の日の頃のお彼岸では、米粉の団子やおはぎ、ぼたもち、おやきなどを仏前に供えたり、食したりします。昔は彼岸の期間中、米粉の団子を仏前に供え、お中日にそれに加えておはぎやぼたもちを、更に彼岸明けの日におやきを供え、ご先祖様の供養をしたそうです。ところで、信州ではおはぎのことを「半殺し(はんごろし)」という地域も多いのですが、これは炊いたもち米を全て潰さずに粒を残すことに由来しているそうです。

 さて、雛祭り、お彼岸に加え、この季節に忘れてはいけない信州ならではの食べ物があるのをご存知ですか。それは「やしょうま」です。2月15日はお釈迦さまが亡くなった(入寂した)日、涅槃会(ねはんえ)です。信州では昔から涅槃会にやしょうまが作られてきました。月遅れの3月15日を「やしょうまの日」とする地域もあります。

 各家庭では前夜までにやしょうまを作り、15日の朝、仏前にお供えします。小さな子どもたちは4~5人で袋を持ち、お寺や近所の家を訪ねまわり、やしょうまをもらいに歩きました。これを「やしょうま引き」といいます。各家の玄関で「やしょうま引きにきいした」と声をかけると、大人たちは「よく引きにきいしてくれたいな」といい、やしょうまを二切れぐらいずつ袋に入れてくれたそうです。

 昨今この風習は滅多に見ることが無くなりましたが、やしょうまを作ったり食べたりする風習は各地に残っています。今でも2月中旬になるとお菓子屋さんやスーパーなどの店頭に並ぶようになります。

 この「やしょうま」、地域によっては「オミミダンゴ」「ミミダンゴ」そして何と「ハナクソ」(!?)と呼んでいる地域もあるそうです。「半殺し」といい「ハナクソ」といい、驚きですね。

 名前の由来は諸説あるよう。お釈迦さまが亡くなる直前、邪(ヤショ)という弟子が米粉で作った団子を進ぜたところお釈迦様はたいそうおいしそうに食べ、「邪(やしょ)、うまかったぞ」と言って息を引き取ったという説。そして、妻の「やすだら姫」がお作りになり、お釈迦様に食べさせたという話から、名前の「やすだら」が語源という説があります。

 子どもに配ったという風習からか、花模様や顔を模ったもの、色とりどりなのが特徴です。味はお砂糖で甘く味付けしたもの、ゴマや海苔、塩が入ったものなどがあります。作りたてはそのままで、硬くなってしまったらちょっとあぶって食べるとおいしいです。信州らしい食文化「やしょうま」。是非味わってみてください。

2015年3月05日


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