汐留鉄道倶楽部

多言語対応のローカル線

2018年12月14日

 折り返し出発を待つ館林行き普通電車=群馬県大泉町の西小泉駅

 館林駅の小泉線普通電車(右)と浅草行き特急りょうもう

 電車に乗っていても、日本語やローマ字だけでなく中国語の簡体字やハングルの表示も見掛けるようになった。外国からのお客さんが増えて、家電量販店やドラッグストアは大盛況だけれど、鉄道も頑張らないと、ということだろう。

 意外な観光地が海外で紹介され、大勢の外国人でにぎわっているのに出くわすこともある。だが、東京から2時間も離れた所を走る私鉄のローカル線で、思いもかけない外国語を発見したときは本当に驚いた…。

 スカイツリーのお膝元、浅草を起点にする東武伊勢崎線(愛称・東武スカイツリーライン)。途中、曳舟や久喜で電車を乗り継いで約1時間半で館林に到着した。館林は群馬県のほぼ東端に位置する城下町で、伊勢崎線はこのまま北西へ直進するが、ここで二つのローカル線が分岐する。一つは佐野厄除(よ)け大師でおなじみの佐野線。もう一つが今回の主役、小泉線だ。

 向かい側のホームに止まる浅草行きの特急を尻目に、西小泉行き2両編成に乗り込む。日中は1時間に1本、朝夕でも2~3本というのどかな路線だ。館林を出て左に急カーブを切り、西へと向かう。

 田畑や住宅地、そして時々太陽光発電パネルの集積地を眺めながら、10分ほどで東小泉に着いた。北隣・太田市の太田に向かう支線の分岐駅。太田を越えてさらに北の赤城を目指す電車が乗り継ぎ客を待っていた。

 東小泉、小泉町、そして終点・西小泉はすぐだった。電車を降り、ホームに立つ駅名標が「ずいぶん横長だな」と思ったのだが、よく見てびっくり。日本語の「西小泉」の下、ローマ字、漢字、ハングル、そしてポルトガル語とスペイン語まで書いてある! ポルトガル語とスペイン語は「駅」という言葉も翻訳してあるので1行がものすごく長くなってしまったのだ。

 屋根につるされている「館林、太田方面」の表示板も同様に翻訳されている。そう言われてみると周りの乗客は違う言葉をしゃべっていたような…。

 西小泉のある大泉町や太田市は自動車や食品など大型工場が集中していて、ブラジルやペルーから来日し、ここで働く日系人の住民がたくさんいるのだとか。後で調べると、町中にはまるで外国かと思うようなスーパーマーケットやブラジル料理の専門店なども多いらしい。時間の関係ですぐに引き返したのだが、ゆっくり散策すれば面白い発見があっただろう。

 東武鉄道といえば、西の近鉄と並ぶ関東私鉄の雄。総営業キロは463.3キロ(日本民営鉄道協会HP)で、路線図を眺めると色とりどりの路線が走り、駅の数も半端ではない。通勤客を大量輸送する長編成の列車や、日光や鬼怒川温泉と都心を結ぶ豪華特急列車が走る幹線だけでなく、こうしたローカル線にも思わぬ魅力がある。さすが東武!

 ☆八代 到(やしろ・いたる)1964年東京都生まれ。共同通信社勤務。帰りは東小泉から太田に出て、特急りょうもうで帰ってきました。


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