汐留鉄道倶楽部

LSE車の引退とロマンスカーの色

2018年11月09日

 東京都内の住宅街を駆け抜けるLSEの特急「はこね」

 神奈川県の田園地帯を走るLSE「さよならツアー」列車。運転席には花束が飾られていた

 小田急ロマンスカー7000形、通称LSE車が引退した。「小田急の顔」の一員としてデビューしてから38年。最新鋭だった車両は、後輩ロマンスカーの登場によっていつの間にか最古参の「顔」となり、とうとう先輩たちと同じように鉄路を去っていった。

 LSEが登場したのは1980年。その頃のロマンスカーには、高速ロマンスカーの先駆け3000形(SE車)、初めて運転席を2階に設けて客席から正面展望を楽しめるようにした3100形(NSE車)の2形式があり、LSEはその後継だ。

 当時、小学生だった筆者は鮮明に覚えている。第一印象は「かっちょいい~!」。駅でもらったLSE登場のチラシを、繰り返しながめてボロボロにしてしまった。SEもNSEも好きだったが、さっそくLSEも「好きな電車リスト」に加わった。

 LSEはNSEにならって運転席を2階に上げ、客室に展望席を設けた。車体の色はSEとNSEを踏襲し、バーミリオンオレンジ、グレー、ホワイトを組み合わせた「ロマンスカーを象徴するカラー」に。そのためか、両形式の見た目は似ていた。

 もちろん違いもあって、丸みを帯びて優雅な雰囲気のNSEに対し、LSEからはシャープでシュッとした印象を受けた。LSEはNSEよりも前面の傾斜が鋭くなり、NSEで丸形だった前照灯は角張った形に。愛称板は、ヘッドマークを手動で差し替える方式から、小さめの幕式に変更された。そんなことから鋭さを感じたのだろう。

 LSEは定期列車の運用を外れてからラストランまでの間に、何回か臨時列車として最後の活躍を見せた。それぞれ生ビール飲み放題列車、ウルトラマンの怪獣が登場するM78星雲号など趣向を凝らしたイベント列車だった。

 新宿駅での出発式、途中駅での撮影会、駅員や車両基地担当者による見送り、客室乗務員の撮影会などの催しがあり、この期間全体が盛大な「さよならイベント」といえる。

 あまり「葬式鉄」をしない筆者だが、LSEは別格だった。引退が発表されてから、沿線を歩いて写真を撮った。最寄り駅から歩いて30分ほどの撮影スポットでも、ひとりぼっちということはなかったし、行きに乗った小田急線の車内から駅のホームに目をやると、数多くの撮り鉄たちがスタンバイしていた。改めてLSEの人気ぶりを実感した。

 最後の旅客列車となった「さよならツアー」列車の運転当日、筆者は神奈川県ののどかな田園地帯に繰り出した。かなりの人数がいたが、恐れていたほどではなかったので、のんびり写真を撮ることができた。

 LSEの後に誕生したロマンスカーは、車体色が一新されて全く異なる雰囲気になったためか、LSEは「ロマンスカーらしいロマンスカー」や「ロマンスカーの伝統を受け継ぐロマンスカー」と呼ばれた。

 LSEの引退により、伝統的なロマンスカーの車体色も消滅した。一時期は箱根の登山電車やケーブルカーなどにも採用された「箱根観光を象徴する色」でもあった。いつの日か、展望席のあるロマンスカーで復活させてくれると信じている。

 ☆寺尾敦史(てらお・あつし)共同通信社映像音声部。LSEは「さよならツアー」の1週間後、海老名車両基地の公開日に展示され、最後のお別れとなりました。2021年春に開業するロマンスカーミュージアムで、SEやNSEと一緒に展示される予定なので、再会を心待ちにしています。


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