汐留鉄道倶楽部

遠かった絶縁区間

2018年9月14日

 交流区間を疾走、直流区間に向かう常磐線E531系=茨城県取手市

 デッドセクションが近づくとさまざまな標識が目に入ってくる

 北海道で震度7の地震があった。心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興を祈っている。

 今回の地震では北海道全土を大規模停電が襲った。電気が止まったために鉄道は全面ストップ、JR北海道は非電化区間も多いが、電気がなければ信号も動かない。鉄道は一度にたくさんの人や貨物を運べる交通機関だが、それだけに全面運休は深刻だった。

 さて、今回はその電気の話。電車や電気機関車を動かす電気には交流と直流がある、というのは以前このコラムでも書いた。直流は車両が安く造れるという利点があるが、地上設備がたくさん必要なため、運転本数の多い都市圏に向いている。交流はその逆だ。

 交流と直流の両方を走れる車両は製造費がかかるので、鉄道会社にしてみたらその境目は都心から遠い所にしておきたい。東北線は栃木県北部の黒磯、羽越線も新潟県北部の村上が境界だ。

 ところが常磐線は、東京の通勤圏である茨城県の取手が境目になっている。気象庁地磁気観測所(茨城県石岡市)のデータ観測に影響が出てしまうため、取手以北を交流にせざるを得なかったのだという。

 直流と交流の境目はどうなっているのか。二つをつなげるわけにはいかないので、架線の途中が「デッドセクション」と呼ばれる絶縁区間になっている。というわけで東京に一番近いデッドセクション、常磐線の取手―藤代間を訪ねた。

 上野から勝田行きに乗車。E531系という車両で、東海道線、東北線、高崎線などを走る上野東京ライン、湘南新宿ラインの車両と同様、2階建てグリーン車を含む10両ないし15両の編成だ。

 違いは常磐線が銀色の車体に青の帯で交直両用、東海道・東北線系が銀色の車体にオレンジと緑の帯で直流専用。E531系は交直両用だからデッドセクションを越えて東京から水戸まで難なく行けるのだ。

 取手―藤代間の営業キロは6.0キロ。肝心のデッドセクションは、取手を4キロ余り進んだ先に設置されている。デッドセクションは電気の供給がないので電車が止まってしまう―なんてことはなくて、電車は勢いでそのまま進むからご安心を。

 僕を乗せた列車はスピードを上げて絶縁区間に近づく。いよいよだなと思い、注意して外を見ていたのだが、あっという間に通り過ぎてしまった。なんだか肩すかし。

 以前、特急に乗った際は車内の照明がだんだん薄暗くなり、そしてだんだん明るくなって「通過した」という実感があったのだが、今の車両はそんなこともない。その道の人は走行音を聞いて分かるらしいが、ちっとも分からなかった。

 藤代で下車して、線路沿いに戻ってみた。「次は切替」とか「交直切替」という標識が続く。さらに進めばこの先に確かにデッドセクションはある。だがしかし…。猛暑、いや酷暑の中、これ以上歩いていたら命の危険があると思い断念、とぼとぼ藤代に引き返した。というわけで、何とも中途半端なリポートになってしまい、すみません。

 ☆八代 到(やしろ・いたる)1964年東京都生まれ。共同通信社勤務。各地のデッドセクション巡りをしようかとも思ったが、面白い写真が撮れそうにないので本コラムではもうやめておきます。


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