汐留鉄道倶楽部

二刀流の駅

2018年7月13日

 ホームの高さが途中で変わる福大前西福井駅

 上の車両は左降り、下は右降りの新田塚駅

 「二刀流」。そう聞くと、すっかり米大リーグ・エンゼルスの大谷選手を思い浮かべるようになった。そんな彼の活躍を横目に福井へと転勤した筆者は、新任地で「鉄道界の二刀流」を見つけたので紹介したい。

 それが見られるのは、えちぜん鉄道(えち鉄)の三国芦原線。えち鉄はJRとの乗換駅の福井駅をターミナルに、三国芦原線と勝山永平寺線の2路線を運行。かつては「京福電鉄」を名乗っていたが、第3セクター化し現在の社名になった。このうち三国芦原線は芦原温泉や東尋坊といった観光地へのアクセス路線としても機能する。

 同線は、田原町駅~鷲塚針原駅の区間に、福井鉄道(福鉄)が乗り入れてくる。福鉄の乗り入れ車両は、全て路面電車サイズの小さい車体で、床が低く「低床車」と呼ばれる。だがえち鉄の車両は一般的なサイズで、床の高さもJRの標準的なものと同じだ。

 そうなると、ある問題が発生する。車両の床の高さが異なるため、ドアの高さもズレてしまい、駅で同じホームが使えないのだ。えち鉄サイズのホームは福鉄の車両には高すぎ、福鉄サイズのホームはえち鉄には低すぎる。いずれにしても大きな段差ができてしまい、安全に乗り込めない。そこで福鉄は、駅に2種類の高さのホームをつくることにした。

 たとえば、福大前西福井駅では、ホームの途中に階段を設けて高さが変わるようになっている。ホームの東側がえち鉄車ホーム、西側へ進んで階段を降りると福鉄車ホームという具合だ。列車は同じ線路に入ってくるため、車両によって停車位置が異なる。

 また新田塚駅では、線路の左右両側にホームを設置し、片方を高いホーム、もう片方を低床車用の低いホームとした。列車が入る線路は同じだが、左右どちら側のホームに降ろされるかが車両によって変わる仕組みだ。

 逆に言えば、列車を待つときは、来る車両がどちらかをわかっていないと、自分が待つホームに列車は来たが、扉が開かない側でした…なんてことになりかねない。そういった経緯で、新田塚駅では駅員による「次の列車は低い方のホームでお待ちください」なんて珍しい案内を聞ける。

 そんな二刀流駅を抱えるえち鉄だが、タレントの横澤夏子さん主演で同社を舞台にした映画「えちてつ物語~わたし、故郷に帰ってきました~」が今秋にも公開予定だ。映画の主な舞台は勝山永平寺線とのことだが、「えち鉄」の名前が全国に知られるチャンス。映画のヒットに期待したい。

 ☆加志村拓(かしむら・ひろし)共同通信社福井支局記者。1992年京都出身。JR西日本エリアの中で、福井県は自動改札機が無い唯一の県でしたが、福井国体にあわせ今年9月に福井駅と敦賀駅に設置されることが決まりました。


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