香山リカ てのひら診察室

女性宮司を認める方針の検討望む

2017年12月08日

 

 東京都江東区の富岡八幡宮で宮司の女性が、実の弟に切りつけられ殺害されるという衝撃的な事件が起きた。

 まだ事件の背景は明らかになっていないが、女性宮司と神社本庁、またこの姉弟間にはトラブルがあったと見られている。10年に女性宮司の父親が高齢を理由に宮司を退き、後継に娘を指名したのだが、神社本庁に具申したものの回答がなかったというのだ。その後、結局、富岡八幡宮は神社本庁から離脱している。また姉弟の間でも宮司の地位をめぐっていさかいが起きていたという。殺害された女性宮司は、自身のブログにパワハラ、セクハラなどの悩みを記していたとの報道もある。

 今回のできごとで、神社本庁が女性宮司を正式に認めていないことを初めて知った、というのは私だけではないはずだ。姉が後継に指名されたことじたい、弟には不満だったかもしれないが、もしその時点で神社本庁が八幡宮からの申し出を受け、すんなり姉を正式な宮司としていれば、弟も納得したのではないだろうか、などと考えてしまう。

 もちろん、職業の性質によっては女性を認めない、あるいは逆に男性を認めないというものがあるのは致し方ない。しかし、一般的に考えて性別に関係なく務められる職業であれば、そのように変えていくのは社会の流れなのではないか。日本には男女雇用機会均等法という法律もあるのである。

 この事件を受けて神社本庁には何らかの動きが見られるだろうか。女性宮司の死はあまりにいたましいが、せめてこれをきっかけに、女性宮司を公式に認めるといった方針が検討されることを望みたい。(香山リカ、377回)

☆かやま・りか 1960年札幌市生まれ。立教大現代心理学部教授。現代人の心の問題を中心に、社会批評など多彩な分野で活躍。「しがみつかない生き方」「『看取り』の作法」など著作多数。


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