東京アート日和

ヨーロピアン・モード

《写真1》 JR新宿駅から甲州街道を8分ほど歩いたところにある同館は、大きな地球儀が目印です(画面中央奥が入り口)

《写真2》 「1920年代のバッグ」

《写真3》「イヴニング・ドレス」 絹・ビーズ・刺繍 1880年頃 「黒のドレス」は特集テーマ。 黒の絹地に繊細な刺繍とビーズが施され、光を反射しながら美しい模様を作り出します。 黒一色と一口には言い切れない表情の多様さが分かります

 もう春の気配がすぐそこまで。そんな季節にぴったりな展示を訪れました。文化学園服飾博物館にて開催中の「ヨーロピアン・モード」=《写真1》。学校法人文化学園が運営する同館は毎年この時期、ファッションを学びに入学する新入生のために、18世紀までさかのぼったヨーロッパのファッションの歴史を一覧できる展示を開催しているそうです。今回はさらに「黒のドレス」が特集され、黒一色が見せる幅広い表情を展開しています。

 時代ごとに並べられたドレスを見ていくと、本当に色々な発見があり、長い時間眺めてしまいました。思ったのは、「女性はいつの時代も綺麗でいたいんだな」ということ。スカートのふくらみ、ウエストライン、袖のふくらみ、時代と共に変化するそれらの流行に敏感な女性たちは、様々な工夫をします。布地の中に綿を詰めたり、クジラのヒゲを使ってスカートを広げたり、コルセットでウエストを締め付けたり。全て、そのとき美しいとされている姿に近づけるためです。

 時代的な背景があって作られたスタイルもあります。例えば、物資不足の戦時中には布を節約するデザインであったり。化学染料が開発されると、天然染料ではできなかった色も表現できるようになり、ドレスの色合いもより鮮やかになったり。日本でも、20世紀になるとドイツで開発された藍色の化学染料が輸入されるようになり、時間と手間のかかる天然藍の産業は痛手を受けたと聞きます。

 可愛らしいバッグが幾つか展示されているコーナーがありました。キラキラとビーズを多用して、まるでアクセサリーのような小さなバッグ達が並んでいます。説明文を読んで驚きました。これらは、20世紀に入って、女性の活動の幅が広がったことで需要が生まれ、その後ファッションアイテムとして定着した、というのです。書類、雑誌、ラップトップなどを詰め込んだ大きなバッグで活動している現代の女性からすれば、実用から程遠く見えるであろうこれらの小さなバッグも、当時は活動的な女性の象徴であったのです=《写真2》。

 そして、女性の活動の幅が広がるにつれ、スカートの丈が短くなり、ついにパンツスタイルも登場します。そう、「きれい」と思って見ていた大きく広がるスカートも、きゅっとウエストを締め付けるデザインも、決して活動しやすいスタイルとは言えません。自由を求める女性たちが反発したのも分かる気がします。

 現代の私たちは、洋服の選択肢に関してはかつてないほど恵まれているのではないでしょうか? パンツスタイルも、スカートも選べますし、ぺたんこ靴の流行により、ハイヒールでさえオフィスの必需品ではなくなりました。

 私は、といえば、いつもスニーカーにジーンズで、きちんとした格好でハイヒールを履いたのはいつのこと…といった感じです。今回の展示をみて、「美しくいたい」という時代を超えた女性の願いに刺激を受け、たとえ少し足が疲れても、春らしい、女性らしい洋服でお出かけしたいなぁ、とおしゃれ願望が湧いてきました。

【ちょっと足を延ばして】
 おしゃれをして出かけるなら、博物館を出て徒歩5分ほどのところにある「パーク ハイアット 東京」へ。映画「ロストイントランスレーション」でも知られるラグジュアリーホテルですが、41階ピークバーの「トワイライトタイム」(午後5~8時)なら、気軽に好きなだけドリンクと前菜が楽しめるのでオススメです。あのスカーレット・ヨハンソンが飲んでいたカクテル「L.I.T」もありますよ!
※ひとり 4,000円(サービス料・税別)

【展示会情報】
◇「ヨーロピアン・モード」
◇場所:文化学園服飾博物館
◇最寄り駅:JR・京王線・小田急線 新宿駅(南口)より徒歩7分
      都営地下鉄新宿線・大江戸線 新宿駅(新都心口)より徒歩4分
      地下道ワンデーストリート 出口O-1に隣接
◇開催期間: 5月16日(火)まで
◇開館時間:10:00~16:30 ※入館は閉館の30分前まで
        ※各展示期間中2回、金曜日に開館時間を延長しています。
        (19時まで/入館は18時半まで)
◇休館日:日曜日・祝日・振替休日・年末年始・夏期休暇・展示替の期間
入館料(税込):一般 500円/大学・専門学校・高校生 300円/小中学生 200円
        ※20名以上の団体は100円引き、障がい者とその付添者1名は無料

2017年3月31日


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