東京アート日和

すみだ北斎美術館開館記念展 「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション」

常設展のコーナー。文字を書くだけで、北斎の絵が描けてしまう?

「吉原妓楼の新年」の一部。なんの話をしているのか、気になります

「芥子」可憐な姿と色使いです

 JR両国駅から徒歩9分。以前ご紹介したことのある江戸東京博物館から少し行ったところに、「すみだ北斎美術館」が11月22日、オープンしました。墨田区が収集した葛飾北斎等の作品約1,800点の中からその時々の企画展のテーマに沿って選ばれた数々に、年間を通して出会うことのできる北斎ファン待望の美術館です。

 北斎が生まれたのは、まさにこの美術館が面する北斎通り付近だったと考えられています。その彼の作品を集め、地元で守り伝えていくための美術館の構想が生まれたのは28年も前、平成元年のこと。その後バブル崩壊、リーマンショックなどを経て、いわゆる「ハコモノ」建設に風当たりが強くなるなか、開館への道のりは決して平坦ではなかったと思います。しかしようやく開館を迎えた今、東京は4年後にオリンピック開催を控え、図らずも世界中から日本文化に興味のある人が訪れる街になっていました。

 開館したばかりの美術館を紹介するのは今回が初めてです。最新の設備を整えた新しい美術館のあり方に、まず驚かされました。

 浮世絵は退色しやすいため、長期間展示することができません。そこで、常設展は、私が見ただけでは全く違いがわからない高精細なレプリカを中心に構成されています。作品説明はタッチパネルで、多言語対応しています。展示だけでなく、北斎の画法を楽しく学べるようなコーナーが広くとってありまる。他にも、フルハイビジョンの4倍の画質と言われる「4K」で再現された北斎の作品を、タッチパネルで引き延ばして見ることができます。とぼけた表情の船頭さん、さらっと着流した着物の模様、遠景に見える鳥や船。版画という、ある意味制約のある表現方法ながらどんなに引き延ばしてもぼやけることなく、ひとつひとつの物語や笑い声が聞こえてくるようです。

 企画展示の部屋には、北斎の版画や肉筆画が並びます。先ほどまで4K画面で引き延ばしていた画像の元となる作品数点にも、ここで改めて出会うことになります。ガラスケース越しではなく、額装された作品が直接壁にかかっているので、本当に細かい部分まで間近に眺めることができるのも贅沢です。北斎の描いた世界を形にする熟練の彫師・摺師(すりし)がいたことを実感し、その名前の残っていない腕利きの職人に想いを馳せました。

 北斎、と聞くと思い浮かべるのは富士山でしょうか? 私が今回新鮮に感じたのは、小さな植物や虫への視線でした。繊細な線で描かれた芥子や牡丹の花。力強い富士山、おどけた町人の様子とは一味違った、可憐な姿。知ったつもりになっていた北斎を、新たに発見し、より深く知る場所でした。

【ちょっと立ち止まって】
 海外観光客の増加はすでにニュースで知られている通り。この美術館のある墨田区も例外ではなく、お隣の両国国技館、江戸東京博物館と合わせて多くの海外客が訪れます。さらに今回の美術館開館に合わせ「江戸NOREN」という商業施設もJR両国駅西口を出てすぐ右手にできました。入って正面にある土俵を囲むように木造のお店が立ち並ぶ空間では、そば、天ぷらといった日本食を楽しめるのはもちろん、墨田区ならではのグッズが揃うお店も。両国駅付近で1日楽しめそうです。

【展示会情報】
◇「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション」
◇場所:すみだ北斎美術館
◇最寄り駅:
 ・都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩5分
 ・JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分
 ・都営バス・墨田区内循環バス「都営両国駅前」より徒歩5分
 ・墨田区内循環バス「すみだ北斎美術館前(津軽家上屋敷跡)停留所」からすぐ
   ※平成28年11月21日までは「緑町公園(津軽家上屋敷跡)停留所
◇開催期間:2017年1月15日(日)まで 
 ※12月20日(火)から後期が始まります。   
◇開館時間:9:30~17:30(入館は閉館の30分前まで)
◇休館日:12月19日(月)、12月29日(木)~1月1日(日・祝)、1月10日(火)
◇入館料(税込):一般1,200円、高校生・大学生900円、65歳以上900円、中学生400円、障がい者400円
 ※団体は有料のお客様20名以上。 
 ※小学生以下は無料。 
 ※中学生・高校生・大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。 
 ※65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。 
 ※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで障がい者料金でご覧いただけます(入館の際は、身体障害者手帳などの提示をお願いします)。 
 ※開館記念展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、常設展もご覧になれます。


2016年12月18日


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