東京アート日和

恐竜博2016

迫力満点のスピノサウルス全身復元骨格

ティラノサウルス「スコッティ」の復元骨格。二足歩行のため、スピノサウルスに比べて前脚も随分小振りなのが分かります

化石クリーニングの実演をするクライヴ・コイ氏

 子供の頃、恐竜図鑑を飽きる事なく眺めていた事を思い出します。同じ地球上を、人間を一飲みにできるほど巨大な生き物がかつて闊歩していて、それが億年という時間をかけて進化し、滅びたこと。想像を絶する時間軸を超えて、その存在を指し示すものが地球上に残っている…これがロマンでなくてなんでしょう。

 国立科学博物館で開催中の「恐竜博2016」では、恐竜について現代の私たちが知りうる最新の研究結果が披露されています。一番の見所は、二大肉食恐竜と言われるティラノサウルスとスピノサウルスの復元骨格が、同じ空間にお目見得すること。全長12mのティラノサウルスは、私が親しんだ図鑑にも載っていましたが、それを凌ぐ15mと言われるスピノサウルスは、日本初公開となります。

 このスピノサウルス、第二次世界大戦で化石が焼失して以来いわゆる幻の存在となっていました。ところが、2008年にスピノサウルスの化石が新たに見つかったのです。そして2014年にその研究成果が発表されると、それまでの恐竜の「定説」が次々と覆されていきました。

 例えば、爬虫類から恐竜に進化する過程で「恐竜」と分類する基準の1つに「二足歩行ができるようになる」ことが挙げられます。ところが、スピノサウルスは前脚もしっかりとしていて、四足歩行だったと推測されます。また、水中では生活できなかったとされる恐竜ですが、スピノサウルスの骨の密度を調べたところ、どうやら水中で生活していたことを示しているようなのです。教科書に載っている恐竜でも、こうして新たな発見や研究結果に基づいてそれまでの常識が日々更新されていくのですね。

 化石の発見からその研究成果の発表まで、6年という年月がかかっているのに気付かれたでしょうか? 私は、化石が見つかったらすぐに発表につながると考えていましたが、いえいえ、とんでもない。まずは地層の中から壊さないように化石を含む塊を掘り出し、さらにその塊から化石以外の不要物を取り除くという大変な作業が待っています。その1つ、「プレパレーション」と呼ばれる実際の化石をクリーニングする実演も、ぜひご覧になってください。あの巨大な復元骨格も、この繊細な作業の結果なのだ、と思い知らされます。

 今回の展示では、進化の不思議と魅力についても考えさせられました。例えば、肉食だった恐竜が必要にかられて植物を食べるようになると、植物を細かく挽く臼のような平らな歯が発達したり、消化のため腸が長くなって体もさらに大きくなったり…。私たちも、今の姿が完成形であるはずがなく、少しずつ進化しているに違いありません。スマートフォンが普及した現代では、親指だけが異常に発達する…なんて説も出ています。そんな風に、遥か昔の存在である恐竜の進化の歴史を探ることは、今の私たちを考えることにもつながり、何千万年という時間を隔てながら、決して断絶されているわけではないのですね。なんだかんだ言って、同じ地球という星に存在していたのです。遠く離れているようで、身近な恐竜に、こうして人類は魅了され続けていくのだと感じました。

【ちょっと立ち止まって】
 国立科学博物館を出ると、右手に東京国立博物館、正面には東京都美術館、駅に向かうまでには上野動物園、東京文化会館、そして国立西洋美術館とたくさんの文化施設が集まっているのが上野公園です。せっかく上野を訪れるのなら、色々な施設を回ってみてはいかがでしょうか。
 今年初めて、「UENO WELCOME PASSPORT」が発売されました。2,000円で、上記施設の他にも下町風俗資料館、旧岩崎邸庭園、東京藝術大学美術館など、上野エリアの計8施設の常設展等に各1回入場できるというお得なパス。使用期限は5月末日までで、限定枚数の発行です。これからの春休みに1日上野で過ごす、もしくは何度も訪れる予定がありましたら、きっと役に立つと思いますよ。

☆お知らせ☆
このブログ読者の中から5組10名様を、国立科学博物館で開催中の「恐竜博2016」にご招待します!
締め切りは3月31日(木)。開催期間はたっぷりあります。 応募はこちらから。

【展示会情報】
◇「恐竜博2016」
◇場所:国立科学博物館(東京・上野公園)
◇最寄り駅:JR「上野」駅(公園口)から徒歩5分
      東京メトロ銀座線・日比谷線「上野」駅(7番出口)から徒歩10分
      京成線「京成上野」駅(正面口)から徒歩10分
      ※同館の駐車場はありません。
◇開催期間:6月12日(日)まで
◇化石クリーニングの実演:期間中実施(休館日を除く)。カナダ・アルバータ大学古脊椎動物学部の上級技術者であるクライヴ・コイさんのほか、4/4(月)~6/1(水)は北海道大学の学生たちが、北海道・むかわ町穂別博物館の化石クリーニングを行います。
◇開館時間:午前9時~午後5時(金曜日は午後8時まで。4/30(土)~5/5(木)は午後6時まで)
 ※入館は各閉館時刻の30分前まで
◇入場料: 一般・大学生 1,600円 / 小・中・高校生 600円 / 金曜限定ペア特ナイト券 2名様1組 2,000円
 ※常設展もご覧いただけます
 ※未就学児無料
 ※団体は20名様以上
 ※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名様は無料
 ※金曜限定ペア特ナイト券は、2名様同時入場/男女問わず

2016年3月18日


バックナンバー

楽しむ

エンタメコラム
特選お役立ちコラム
中島麻希 信州FOOD記
成沢篤人 それはさておき、ひとまずワイン
横山タカ子 暮らしの調味料
東京アート日和
信州スポーツ
信州お天気手帖
イベント情報
イベント情報投稿
書籍・CDランキング
グローバルメニュー
  • 信毎デジタルパスポート
  • 信毎の本オンラインショップ
  • 信毎イベント&チケット
  • 信毎オリジナルグッズ