東京アート日和

館蔵 茶道具取合せ展

都内とは思えないほど静かな通りの中に美術館はあります。 写真は館の敷地。入り口はこの門の隣にあります

今回初公開となる渋谷玉恵氏寄贈の更紗コレクション。 左部分は、金を使った豪華な更紗で作られた煙草入れ。 煙管(キセル)を入れる筒と、 その煙管を挟んで着物の懐中に入れるための包み

唐津織部四方鉢(桃山時代・十七世紀) 渡辺喜三郎作の湯斗、湯の子掬いなどが載った脇引盆

 今回の東京アート日和は、ずっと紹介したかった美術館、「五島美術館」です。1960年に世田谷区上野毛に誕生した同館は、東急グループの創始者であり、実は長野県小県郡殿戸村(現・青木村)の農家の出で、旧制上田中学(現・上田高校)出身という五島慶太氏が収集した美術品の数々が所蔵品の中心となっています。展示品だけではなく、住宅街の中に現れる立派な門構えや木々、大きなガラス越しに眺める手入れの行き届いた中庭、程よい広さで見やすい展示室など、私はいつも空間も楽しみに訪れています。

 今回は、その収蔵品の中から、お正月らしくお茶道具をテーマにした展示になっています。

 お茶は習ったことがない…という方でも、千利休はご存知かと思います。その千利休に茶の湯の手ほどきをした武野紹鴎(たけのじょうおう)と、千利休の系譜を継ぐ江戸時代の大名茶人小堀遠州(こぼりえんしゅう)、それぞれの好んで使ったもの、作らせたものなど由来の品々が空間を飾ります。

 千利休が大成した「侘び茶」。その感性を千利休に吹き込んだ武野紹鴎と、時代が下り、再び新しいアプローチで「わびさび」を捉え直した小堀遠州。それぞれに、それまでの「美しい」とされてきたものに、新たな提案や視点を提供した人たちです。時代の流れを考えながら展示を追うのも楽しいと思います。

 そして、今回初めての公開となる「更紗手鑑=さらさてかがみ」(※)のコレクションも見所のひとつです。インドを発祥として、東の日本でも、西のヨーロッパでも多くの人に愛され、その土地の染色技術や模様と融合して独特の発展をみた更紗。それだけ幅広く、多くの人を魅了するものは、単純に「素敵!」なんですね。鮮やかな色彩、細やかでありながら、おおらかさも感じられる模様。夢中になって眺めてしまうと思います。

 展示室2では、「懐石膳」をテーマに、お正月らしい取合せの器や御膳などが並びます。五島慶太氏が実際に使っていた漆塗りの膳や食器の数々。私の自宅にはそれほど立派な器はありませんが、せっかくのお正月、久しぶりにあの器を出してみようかな?なんて考えるのがとても楽しく、軽やかな気持ちで帰途につきました。

(※)「手鑑」とは、古筆や布の裂地をアルバムのように厚手の紙に貼って鑑賞した折本のこと。

【お勧めの情報】
 2016年2月10日(水)には、茶室「古経楼」と「冨士見亭」が午前11時から午後4時まで特別公開されます。実際のお茶室のしつらえは、展示空間とはまた一味違うはずです。ぜひ楽しんでください。
 また、毎年春恒例の国宝「源氏物語絵巻」の公開ですが、2016年は4月29日(金)~5月8日(日)の予定だそう(期間中5月2日(月)休館)。会期が短いですが、こちらも機会がありましたらおすすめです。

【展示会情報】
◇「館蔵 茶道具取合せ展」
◇場所:五島美術館
◇最寄り駅:東急大井町線「上野毛駅」(かみのげ)下車徒歩5分
◇開催期間: 2016年2月14日(日)まで
◇開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
◇休館日:月曜日(但し1月11日は開館)、12月24日(木)~1月4日(月)、1月12日(火)
◇入館料(税込):一般1,000円、学生(高校・大学生)700円、中学生以下無料


2015年12月25日


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